ÉS006

『モア・ザン・ヒューマン ─ マルチスピーシーズ人類学と環境人文学』

¥ 3,520(税込)

2021年9月刊
A5判 / 縦210mm×横148mm×厚さ25mm / 並製カバー装
320ページ

奥野克巳、近藤祉秋、ナターシャ・ファインの監修によりÉKRITSで連載を重ねた「MORE-THAN-HUMAN」が、以文社の「シリーズ 人間を超える」の第一弾として出版されました。

「More-Than-Human | モア・ザン・ヒューマン 〜 マルチスピーシーズ/環境人文学からの展望」特設ページ

地球規模での環境変動、資本主義の見えない未来、科学技術の革新が問いかける人間性の変容──「人新世」時代の今日、人類を含めた多種の絡まり合いの現実を看過することはできない。多種間の関係を記述してきたマルチスピーシーズ民族誌と、人間と人間を取り巻く環境との関係に注視してきた環境人文学が交差する「人間以上」の人文知は、いかに可能か?21世紀の人文諸学の未来を展望する、国内外の精鋭たちによる9つのインタビュー集。

人間による地球の環境変動が取り沙汰されるようになった今日、人間という単一種から離れて、微生物から昆虫、動植物だけでなく地球外生命にも目を向け、多種の共同体を取り上げてその中に人間を位置づけ直してみることを、民族誌という人類学の強みに拠りながら探っていくのがマルチスピーシーズ民族誌であった。その試みは、人類学という既存の学問の枠だけにもはや収まるものではなくなっている。他方。環境人文学は人間と人間が住まう環境や自然、生物やモノとの関係性を、今日の複雑な政治・経済・社会および科学技術をめぐる文脈の中に位置づけて、既存の人文諸学が取り組むべきテーマを明確に示しつつ、諸課題に実質的にあたるための手がかりを与えてくれるだろう(本書、序論より)

序論 モア・ザン・ヒューマン 人新世の時代におけるマルチスピーシーズ民族誌と環境人文学(奥野克巳)


第1部 人間と動物、一から多への視点
第1章 インド中部ヒマラヤの種を超えた関係性(ラディカ・ゴヴィンドラジャン/宮本万里)
第2章 工業型畜産における人間-動物の労働(アレックス・ブランシェット/吉田真理子)
第3章 人間-動物関係をサルの視点から見る(ジョン・ナイト/合原織部)
総論Ⅰ(奥野克巳/近藤祉秋/大石友子/中江太一)

第2部 人間的なるものを超えた人類学の未来
第4章 モンゴルの医療、マルチスピーシーズ・ストーリーテリング、マルチモーダル人類学(ナターシャ・ファイン/村津蘭)
第5章 森の思考を聞き取る人類学(エドゥアルド・コーン/近藤宏)
第6章 想像力を駆使し、可能性の彼方に人類学を連れ出そう(アナンド・パンディアン/山田祥子)
総論Ⅱ(奥野克巳/近藤祉秋/大石友子/中江太一)

第3部 モア・ザン・ヒューマンの人類学から文学、哲学へ
第7章 外臓と共異体の人類学(石倉敏明/唐澤太輔)
第8章 エコクリティシズムのアクチュアリティ(結城正美/江川あゆみ)
第9章 仏教哲学の真源を再構築する(清水高志/師茂樹)
総論Ⅲ(奥野克巳/近藤祉秋/大石友子/中江太一)


あとがき マルチスピーシーズ人類学から本書を眺望する(ナターシャ・ファイン)